東寺周辺の見どころを簡単に解説!成り立ちと役割について

京都のイメージとしてよくイラストや写真に使われている五重の塔。この五重の塔は京都駅の近くにある東寺というお寺にあります。

他にも東寺にはどのような見どころがあるのでしょうか?ここでは東寺の成り立ちや周辺施設、民間信仰の場としての見どころ、国家や歴史との関連を簡単にご紹介します。

東寺の成り立ちと周辺の見どころ

まずは東寺という名前ですが、何故、東寺だけで西寺はないのかという疑問が生じてきます。実は西寺は存在していて、東寺とともに国家を守る役割を担っていました。

東寺は平安京ができた延暦15年(796年)に西寺と共に創建され、20年後に時の天皇である嵯峨天皇の勅命により東寺は空海に、西寺は同じ真言密教の守敏にそれぞれの運営を任されました。

空海と守敏はライバル関係だったようで、法力合戦?のような事もしていたようです。もっとも知られているのが雨乞い対決で、空海に軍配が上がりました。

この雨乞い対決が直接の契機だったわけではありませんが、時の流れとともに西寺は廃れ、今はその跡を公園の中に残すのみになっています。東寺に観光に行った際には、帰りに西寺跡にも足を運び、その栄枯盛衰に思いを馳せるのもいいのかもしれません。

東寺の周辺施設としてもう一つ重要なのが石上神社(波切不動尊)です。かつて東寺の敷地内にあった石上神社は、幼少期の空海を教育し、唐への留学の後押しをした阿刀大足(あとのおおたり)の一族が代々治めている神社となります。

現在は小さなお社になっていますが、お遍路巡り、高野山、東寺に参拝しても石上神社を参拝しなければご利益は得られないと言われており、神社仏閣巡りが趣味の人には見逃せない場所と言えるでしょう。

民間信仰の場としての東寺

それでは廃れてしまった西寺と東寺は何が違っていたのでしょうか? 大きな理由としては、東寺の長であった空海が民間の信仰の対象として支持されてきたからと考えるのが妥当かと思われます。

例として大師堂の南側に置かれている尊勝陀羅尼像の下に彫られている贔屓(ひいき)という想像上の生き物があります。

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古来より贔屓には病気を治す力があるとの民衆の信仰があります。東寺で販売されている万病ぬぐいの布という布で贔屓の像を擦る事で病気が癒えると言われ、今日も多くの人々が遠くから東寺にお参りに来ています。


もうひとつ大師堂周辺で注目すべきは、高野山奥の院が祀られているところです。

高野山は空海が密教の修行の総本山とし、入定した後もその奥の院で民衆を見守っているとされています。その雰囲気を感じ取りたい人は尋ねておくべき場所と言えるでしょう。

東寺の行事で、民衆の空海への信仰を示す大きな行事として毎月21日に開催されている弘法市(弘法さん)があります。弘法市の由来は御影供という空海が入定した日に執り行う儀式に多くの人が参拝していた御影堂の前に「一銭一服」のお茶を出店しだしたことが事の始まりです。

今は京都を代表するフリーマーケットとなっている弘法市ですが、もともとはお寺の法要から始まっており、その背景には民衆の空海への信仰がありました。京都の民衆文化に関心をお持ちの方は一度参加してみられることをおすすめします。

教王護国寺としての東寺

さて、東寺は別名、教王護国寺という王(天皇)に教えて国を護るという役割を表す名前があります。その名残りを残す東寺の行事として後七日御修法があります。
もともと鎮護国家を祈願する宮中の行事で、1月1日から7日までが神事で前七日御修法、1月8日から15日が仏事で後七日御修法と呼ばれていました。


後七日御修法(みしほ)は長い中断期間を経て、現在も真言宗の高僧と宮内庁の人間が一堂に会する貴重な行事として執り行われています。国家と宗教の関係に関心がある人には見逃せない儀式と言えるでしょう。

密教の教えにより国を護るという思想を色濃く残す文化財として有名なものが立体曼荼羅です。曼荼羅はもともと密教で用いられる宇宙を図示する絵画で、法具としてもちいられています。
空海が東寺を任された時に、その曼荼羅を図ではなく、仏像を並べることで3次元で表現しようとしました。当時としては世界初の試みで、東寺にかける空海の並々ならぬ思いが反映されていると言えるでしょう。

五重の塔

最後に五重の塔について触れておきます。五重の塔は当時の日本でもっとも高い建築物でした。幕末には薩摩軍が鳥羽・伏見の戦いで東寺を拠点にし、西郷隆盛が戦況を確認するために五重の塔に登っていた、という逸話が残っています。


繰り返しになりますが、東寺の別名は教王護国寺、国の守護を司るお寺として創設されました。その東寺が倒幕勢力の拠点となったのは大変興味深い話と言えるでしょう。

いかがでしたか? 東寺には日本の歴史や文化と関連した様々な見どころがあります。京都に旅行の際には一度訪ねてみる事をおすすめします。

最後に取材した日の様子を漫画にした動画をご覧ください。

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